【ヒンドゥー数霊術―運命の指針】 (Harish Johari著/大倉 悠 訳/明窓出版/1996)
2009.10.26 レビュー
本著はその名の通り、インドで用いられている数秘術体系を纏めたものであり、通常の数秘術本にて用いられている現在数秘術の体系とは微妙に異なっている。 その特徴としては、各数字に対応した宝石や瞑想法、インドならではの守護神や断食についての言及などが挙げられる。
この本では「数霊術」という名称を用いているが、この「数霊術」では大きく分けて3つの数字(霊数・姓名数・運命数、それぞれ1〜9を使用)を算出し、更に各惑星(インド占星術)に対応させることで様々な占断を行うことが出来る。
ちなみに惑星対応の際に興味深いのは、「4」には「羅?(らごう・ラーフ:月の昇交点。ドラゴンヘッド)」が対応しており、そして「7」には「計都(けいと・ケートゥ:月の降交点。ドラゴンテール)」が対応している点である。
一般の数秘術と大きく異なる点は、上記にある「霊数(生年月日の内、日数の単数変換)」を鑑定の際、最重要視することである。つまり16日生まれであれば、16⇒1+6=「7」が霊数となり、この数字をメインで考察していくことになるわけである。
まずイントロにおいて、数と数霊術・ゼロの扱い・数の性質・数霊術と占星術との対応・複合数(19・28等二桁の数)、更にはアーユルヴェーダやヒンドゥー神話との関係性などなど、正にインド盛り沢山という感じで、独自の「数霊術」の世界に誘ってくれる。
現代の様々な数秘術本においても、数字の象意(イメージ)の部分については、数学的見地や図形的考察、文化的意味など多方面からの関連付けを行っているが、本著では更に神話やインド占星術における惑星との対応など、非常に興味深い関連付けを行っている。
また次章では「ヴェーダ魔法陣」と呼ばれている、9×9の升目に九九の計算結果(単数変換)を書き入れたものを用いた分析方法についても紙幅を割いている。
その後は各数字(1〜9)ごとの解説に移っていく。例えば「1」は太陽と関連付けられており、更には対応する神話の神として「太陽神」が描かれている表紙に始まり、霊数ごとの基本的な性格や注意点、運命数(生年月日を全て単数変換)ごとの性質(男性・女性)、姓名数について、更には数霊的開運法や運気の強弱の時期や幸運な日・曜日・色・宝石(仔細に述べられている)、瞑想法や守護神、健康と病気、断食法、友人関係や恋愛、幸運な年齢等、実に濃密な情報を提供している。
また各数字ごとの人間関係(相性)診断も事細かに記載されている。取り上げる数字によっては男性と女性で相性が異なる場合も有り、その辺りについても丁寧に解説している。
そして本著の終わりの方には、複合数(19・28等二桁の数)の詳細についてや、全体的なリーディングによる未来の読み方も記載されており、数秘術本としては実に内容の濃い構成となっている。
当然ながら本著は全体的にインド風味となっている為、現代数秘術に精通してきた方であればあるほど興味深い反面、混乱してしまう面も出てくるかもしれない。またカルマ等のスピリチュアル的な用語も盛り沢山であり、やはりそれらを否定する人間にとっては抵抗感があるだろう。また各数字の象意も現代数秘術のそれと異なる点が見受けられる為、それにも抵抗感を感じる人はいるかも知れない。
しかしながら本邦において、インドの数秘術をここまで詳細に紹介している書物は他に見受けられない。本著内にある、宝石の粉末を飲むなどのアドバイスはさすがに実践しにくいだろうが、本著はあなたの数秘術に新たなる「気づき」を与えてくれることだろう。
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