【正統ピタゴラス数秘占術】 (渡辺 だりあ・神谷 充彦共著/学習研究社刊/2006)
2008.6.24 レビュー
現在日本で発売されている数秘術本の中では恐らく一番各数字の「象意」について、最も丁寧に取り上げている書物では無いだろうか。 「数秘術」において各数字の「象意」はその最も根幹に当たるものであり、己の中で「象意」を豊かに膨らませる事で、その鑑定力は飛躍的に向上していくのである。
この本ではピタゴラスから連なる数秘術(当著では「数秘占術」と命名している)をその歴史や 理論体系、哲学、世界観等に至るまで実に濃密に綴(つづ)っている。 これらは数秘術を学ぶ人間にとっては、大いなる恵みともなるべき知識であるに相違無い。
先述した各数字の「象意」については、それぞれの数字を持つ人間の基本性格、問題点、学ぶべき事、更に各数字の幾何学的意味やスピリチュアル的意味などが豊富な情報量で構成されている。 またインナーチャートと呼ばれる3つの数字(生命数・ハート数・使命数)を用い、対象人物の基本的な性格や資質等を分析していく事が可能になるのだ。
もう一つライフチャート(内なる動機・外側への表現・バランス数)によって人生における流れを読んでいき、先述のインナーチャートと組み合わせる事で、更に詳細なる時系列分析の為の武器ともなる。
より細かい人生のサイクルを知るには、年と月を利用した数秘サイクルなる手法が役に立つだろう。 また相性リーディングについてもかなりの紙幅を割いている。 そして最後には総合的なリーディング方法の一例も載せており、大いに満足できる構成となっている。
初めの「象意」のところで、様々な思想・哲学体系や理論が書かれているが、初心者にとっては混乱の元となり、かえって理解の妨げとなる恐れもある為、一般的には読む人を選ぶ数秘術本かも知れない。 しかしながら初心者を脱し、中級更にその上を目指す人々にとっては、正に教科書的な存在であると言っても決して過言では無いだろう。
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