【数秘術−数の神秘と魅惑】 (John King著/好田 順治訳/青土社刊/1998)
2007.10.20 レビュー
数秘術(Numerology)という一つの占術体系について書かれた本としてはかなり充実した内容である。
前半では数という概念そのものを歴史、数と自然との対応、数の様々なタイプ等を数学的知識を織り込みながら、ただの数的指標だけではない一つの思想の依り代(よりしろ)として重厚に綴(つづ)っている。 ただし、高等数学に関する著述も多い為、読解にはもしかしたら難儀するかも知れない。
中盤ではヘブライの伝統である「カバラ」についてヘブル文字、セフィロト等を絡めながら綴っている。
そして文字を数字に置き換える(ないしその逆)「ゲマトリア」についてもヘブル・ギリシャ・ルーン・ドルイド文字、そして一般的なラテンアルファベットについて各文字の数字対応や意味・ 背景等の詳細を綴り、また著者独自のゲマトリア体系を披露している。 この独自の体系は諸言語文字の要素を織り込み、また綴りよりその「音」を重要視したものであり、非常に興味深い。
後半では著者の体系による数秘術の実践方法(因数分解を用いる)や数秘術における魔術的アプローチについて紙幅を割いている。
私自身今持っている数秘術本の中でも、この一冊だけは失いたくないと考える。 本としての取っ付き難さや現代数秘術の体系との乖離(かいり)等の問題もあるが、数秘術という占術体系を深く考察する上で非常に有益な一冊であると言えるだろう。
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